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・・・休業日です

労災訴訟リスクをヘッジする
1、労働災害が企業にもたらす損失
ピーター・ドラッガーは、「企業の第一の義務は生き延びることである。そして事業の基本は、利益を最大にすることではなく、損失を回避することである。」と言います。
実際、F.E.Bird Jr.氏によれば、保険で補てんされるコストを1とすると、保険で補てんされないコストは1~3になるという調査結果が出ています。ちなみに、その保険で補てんされないコストとは、超過労働や臨時雇用、新規雇用・訓練、超過監督時間、事務作業時間、法律費用、調査時間。費用などがあります。
また、今挙げた項目以外に、労基署による機械設備の使用停止命令による生産機会の損失や、労働者の勤労意欲減退による生産性の悪化などを考えると、その損失金額はさらに莫大なものになります。
仮に、労災事故で2000万円がかかったとします。この金額を本業で稼ぎ出すとしたら、利益率10%として2億円、5%としたら4億円を売上げなければなりません!このことを考えると、冒頭のピーター・ドラッガーの言葉が、決して後ろ向きでないことが理解できると思います。
さらに、最近の傾向として、労働者の健康に関する事業者責任が拡大しており、メンタルヘルスを含む労働者の健康問題も経営上のリスクになっています(詳細は弊社ニュースレターバンクナンバーvol.20「過労自殺と労災訴訟-企業の「健康管理義務」って何?」を参照ください。)。

2、安全対策の経営メリット
安全対策をするメリットは、既述した損失の話をお読みいただければ言うまでもありませんが、その損失回避の他に、以下のメリットがあります。
「安全対策の費用対効果に関する分析」(中央労働災害防止協会報告書)によれば、投じた安全対策費の60%は、生産性向上などの副次的効果により回収されているとの試算結果が得られています。

3、労働災害と企業の法的責任
安全対策を講じつつも、一たび労災事故が起こってしまったらどうなるのでしょうか?
法的責任の刑事、民事、行政のうち、刑事責任については、ニュースレターvol.22に詳細がありますので割愛します。ここでは、民事責任について説明いたします。
事業者は、事故の過失の有無にかかわらず、労働基準法に基づき一定の災害補償責任を負います。さらに、事業者に落ち度があって労働災害が発生した場合には、労働基準法上の災害補償責任の他に、民法上の責任を負うことがあります。

a. 災害補償責任
労働者が仕事上で死亡・負傷したり疾病にかかったりして療養や休業をしたり、障害が残った場合、事業者は災害補償の責任があります。これは、政府労災保険が適用されて保険金が支払われます。
b. 損害賠償責任
労働災害が事業者の故意・過失(不法行為責任)、または安全配慮義務違反(債務不履行責任)があって発生したのであれば、損害賠償責任が生じ、民事裁判によって賠償金の支払いを命じられます。特に、この、「安全配慮義務違反」については重要ですので、少し掘り下げて説明いたします。
<安全配慮義務違反> ① 労働安全衛生法<安全配慮義務 法の最低基準を守るだけではダメ! 労働契約において、労働安全衛生法の遵守が含まれているのはご存知の通りです。その他、事業者は、労働者に対する安全配慮義務も負っています。
労働安全衛生法は、事業者に遵守を強制している刑事罰を背景とした取締法であることからわかるように、安全管理上、これだけのことは守りなさい、という法規制です。
これに対して安全配慮義務は、たとえ法令に定められていなくても、当然案全対策上必要であると考えられる措置はとっておかなければ、民事上の賠償責任を免れることができません。
さらに、Vol.22でも述べていますが、この安全配慮義務を履行していたかどうかの挙証責任は事業者側にありますので、訴えられるとかなり不利になります。
② 安全配慮義務を履行するには   まず、労働安全衛生法の条文で規定されている作業であったなら、その条文の内容をよく吟味し、法が求めている措置を行います。
さらに、災害が発生するとしたらどのような災害が発生するのかを推測し、それを防止するためにはどのような対処法が必要かを十分考察する必要があります。
  安全配慮義務を果たすための例を以下挙げます。

・ 危険の予知、予見
→現場内を巡視し、不安全状態、不安全行動の発見に努める。
・ 予知された危険の回避
→できることからすぐ実行する(日頃の安全教育や、無理な日程や納期での仕事の廃止など)。すべてをやろうとしても、経済的、時間的理由から実行できず、結局安全配慮義務違反となります。
4、損害賠償額と政府労災 -なぜ政府労災保険では損が賠償額すべてを賄うことができないか?
以上見てきた通り、労災保険給付金はその支給額を限度として労働基準法に定めている事業主の災害補償責任を免れます。しかし、民事においての損害賠償額すべてを労災保険で賄うことができません。
例えば、被保険者が後遺障害を被った場合に労災保険から支給される障害補償給付金は、障害による労働能力の低下に対する損失てん補を目的としています。ここでいう労働能力は「一般的な平均的労働能力」がベースで、被災者の年齢、職種、知識、経験といった個々の職業能力は障害の程度を決定するベースとなっていません。勿論、障害を被った手が利き手かどうかも考慮されません。
そのため、政府労災保険の給付だけでは、遺失利益は慰謝料などを含めた損害賠償額のすべてを賄うことができません。

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